近年、世界で消費量が増加し続けている緑茶。
増加している要因にはもともとお茶の消費量が多いアジア圏の人口の増加があります。しかしそれだけではなく、世界の健康思考に緑茶が適しており、それらの人々が緑茶を飲み始めたことも要因の1つです。
緑茶にはコーヒーなどの他の飲料にはない「カテキン」という物質が多く含まれており、このカテキンはダイエットや、血圧・血糖値の抑制、抗菌、抗ウイルス効果(インフルエンザ予防)など、さまざまな効果があるといわれています。現在でも世界の様々な研究機関が、このカテキンの効果についてさらなる研究が続いています。
緑茶には大きく2種類が存在する

しかし緑茶には元々「日本式」と「中国式」の大きく2種類が存在します。「煎茶」や「玉露」という名前はすべて日本式緑茶です。この日本式と中国式は何が違うのでしょうか。
もちろん気候や土、よく使われる木の品種など、栽培の環境が違うこともありますが、それだけではありません。
一般的に「緑茶」は、紅茶などと違い発酵させない茶葉、即ち無発酵のお茶です。無発酵で製造するためには、収穫した生の茶葉に熱を加えることが必要です。日本と中国ではその方法が大きく違うのです。
日本では、約100℃の水の蒸気を使って茶葉に熱を加えます。一方中国では80℃の釜に葉を押し付けて炒る方法が取られています。
日本は味わい、中国は香り
どちらもとても美味しい緑茶ですが、違いは味と香りです。
中国式は、茶葉を炒ることで独特な香りを引き出すことができます。炒った茶葉はお湯を注ぐ度にじわじわと味が出てきます。また葉を螺旋状にしたり、球状にしたりと見た目にもこだわりを出せるのが特徴です。
一方蒸した日本茶は、最初から味がしっかりと出るお茶に仕上がります。また中国式に比べて甘味や旨味が出やすいのも特徴です。
カテキンが多いのはどちら?
では健康効果があるカテキンはどちらが多いのでしょうか。
日本の国立大学である宮崎大学の研究(1)によれば、どちらも加工された茶葉自体のカテキンやカフェイン量に違いはなかったとのことです。しかしお湯をかけたお茶には違いがありました。
日本式の緑茶のほうがカフェインが20%多く、またカテキンが30%多く含まれていたのです。
これは日本式緑茶の製造過程で、強い圧力を加える工程があり、茶葉の成分がお湯に溶け出しやすいからだと考えられています。
この研究結果から、よりカテキンによる健康効果を高めたいのであれば日本式の緑茶(日本茶)を選択したほうが良いようです。反対に、カフェインを嫌う人にとっては中国式緑茶を選んだほうが良いでしょう。
注釈:現在ではどちらの国にも両方の緑茶が作られています。(例えば日本製の中国式緑茶など。)あくまでも製法の違いによるものであって、生産国の違いではないことに注意してください。
出典
(1)https://www.jstage.jst.go.jp/article/cha/2012/113/2012_113_81/_pdf/-char/ja