新型コロナウイルスのパンデミックが発生した後も、日本の農林水産物の海外への出荷は増加しています。なかでも日本の緑茶はここ10年で2倍以上に増えているのです。
今回はそんな世界における日本茶の需要の変化とその要因にいくつかの記事を参照しながらお話していきます。
輸出額が伸び続けている日本茶
出典:中日新聞(株)
折れ線グラフ_金額 、 棒グラフ_量
グラフを見るとわかるように、日本茶の輸出はここ10年で2倍以上に増加しています。
日本茶を輸入している国や地域は多く、その需要は常に伸び続けているのです。
ちなみにもっとも日本茶を輸入している国(地域)はアメリカです。そして2位が台湾、3位がシンガポール、4位が香港、5位がドイツです。
なぜ輸出量が伸び続けているのか
理由1.健康志向
緑茶は様々な効果を発揮する健康にいい飲み物です。そして現在でもその研究は続けられています。
近年、世界中で健康志向が流行っており、日頃飲む飲み物にもこだわった生活が普及しています。緑茶にはカテキンという物質が含まれており、これが血圧上昇の抑制やダイエット効果などさまざまな効果が期待できます。
現在日本茶の最大の輸出先はアメリカです。実際、アメリカの大手コーヒーチェン店ではコーヒーの次に抹茶ラテが人気です。(もちろん抹茶も日本茶のひとつです。)また、アメリカだけでなく、ヨーロッパや中東、東アアでも同じく健康志向の高まりによって緑茶全体の消費が増え、日本茶の消費も同時に増えています。
理由2.日本政府の後押し
日本政府は日本食の輸出を推し進めています。これは関税の撤廃が世界の貿易の主流(TPP、EPA、FTAなど)となってきており、そのなかで日本の農林水産業を守るためと言われています。
この日本食のなかに日本茶も含まれています。つまり、国の予算を使って日本茶のプロモーションが世界各地で行われているのです。また、輸出をするための業務を日本の政府機関がサポートしています。
これまでの日本茶の業界はITに弱く、日本茶は限られたエリアだけで販売するものでした。しかしこれらのサポートがあり今では様々な日本茶の事業者が輸出に目を向けているのです。
理由3.パンデミック
新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で人々は外出を控え、家で過ごす時間が多くなりました。そして皆さんご存知のように、インターネットを使った販売は急速に売上が伸びました。
パンデミックの少し前から海外への販売に目を向けていた日本茶の業界は、このタイミングで波に乗ることができたのです。
今後も多くの人に飲まれる日本茶
このようにいくつかの理由により、世界では日本茶の需要が増えています。一度日本茶を飲む経験をした人が、日本茶から離れる選択をする可能性もありますが、ここ10年間ではその傾向は見られません。
日本茶はまだ世界全体の普及にはつながっていません。飲んだことがない人々に日本茶を広めることで、もっと大きな需要が生まれることでしょう。
参考
https://www.pref.kyoto.jp/nosan/documents/shinko-keikaku-sanko-siryo.pdf
https://smartagri-jp.com/agriculture/2637
https://jgap.jp/uploads/media/tzS5_rAVAA